STYLE SCENE 7

焼き物の里・丹波編

2022.02.04

焼き物の里・丹波へ。伝統と革新に出会うドライブ

 伝統を守りながら、日々進化し続けるメルセデス・ベンツ。長い歴史の中で、人々に愛され、時代の先端を走り続けるためには、ゆるぎなき哲学と情熱、妥協なき進化を積み重ねることが不可欠だ。
 縄文土器に始まり、その歴史は一万年以上続く日本の焼き物。中でも中世から現在まで生産が続く代表的な6つの産地「六古窯」のひとつが丹波焼だ。その地で作陶に真摯に取り組む陶芸家・市野雅彦氏。彼もメルセデス・ベンツと同じく、伝統を守りつつ、自由な発想で革新を試みるひとりである。
 市野氏は丹波焼の窯元で名匠と言われた信水窯の初代・信水さんの次男として生まれ、修行をつんだ後に開窯した。自ら掘り出す丹波の土と伝統の技を原点に、モダンな現代陶芸に昇華し、独創的な創作に移行。国内だけでなく世界からも支持される新しい丹波焼を作り出している。

 今回、メルセデス・ベンツに乗って訪れたのは丹波市にある「大雅工房」。山を切り拓いて建てた工房は、周囲の山々と調和した心地いい空間だ。市野氏がこだわってデザインした茶室に足を踏み入れた瞬間、目を奪われるのはアートな器たち。ゆるやかに曲線を描くフォルムと、市野氏を代表するストライプが融合した花器は、置くだけでも空間が柔らかな印象になるようで、ついつい心を動かされてしまう。草花を活けると、各々の表情がはっきりして生き生きと輝きだすことを実感できる。
 一方、ギャラリーにはさまざまな焼き物が展示され、自由に見学が可能。何を盛り付けようか、どこに飾ろうかとついつい想像が膨らんでしまう。これから、丹波の土に市野氏がどんな命を注ぎ込むのだろうか。焼き物の里・丹波へのドライブは、伝統の上に革新を重ねる作り手の姿勢に触れられる旅だった。